復興の教訓・ノウハウ集

復興の教訓・ノウハウ集

災害からの復旧・復興過程で生じる課題に対し、東日本大震災における状況とこれに応じた官民の取組事例、専門的知見も踏まえた教訓・ノウハウを記載しています。(令和3年3月公表)

9-3)

生きがいづくり・地域文化の復興

事例名 東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)(①)
被災ミュージアム再興事業(②)
場所 宮城県、岩手県、茨城県、福島県
取組時期 応急期復旧期復興前期復興後期
(①2011 年4月~2013 年3月、②2012 年度~現在まで)
取組主体 文化庁(文化財部美術学芸課)、東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会(事務局:独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所、独立行政法人国立文化財機構、全国の文化財・美術関係団体等)、公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団 ほか

取組概要

 被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)は、被災した美術工芸品を中心とする文化財等を緊急に保全し、廃棄・散逸や盗難の被害から防ぐため、災害の規模・内容に応じて文化庁が行う事業である。
 東日本大震災では、地震・津波で被災した大量の文化財等を救出するため、文化庁は独立行政法人国立文化財機構と13の文化財・美術関係団体に「文化財レスキュー事業」の実施を要請した、宮城・岩手・茨城・福島の4県で、美術工芸品や自然史標本、公文書、図書など、地域の歴史と文化を物語る幅広い分野の資料が救出・保全された。
 2012年度以降、被災した博物館資料の修理や修理した資料の整理等の補助を行うため、文化庁は「被災ミュージアム再興事業」を創設し、美術館・歴史博物館の再興を図っている。

具体的内容

被災文化財の救出・応急措置(文化財レスキュー事業)

 文化財レスキュー事業では、地震等により緊急に保全措置を必要とする文化財等を、救出し、応急措置を施した上で、当該県内又は周辺都県の博物館等保存機能のある施設で一時保管を行った。
 本事業での文化財は、国・地方の指定等の有無を問わず、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書、考古資料、歴史資料、有形民俗文化財等の動産文化財・美術品を中心に、自然史資料等、地域の歴史と文化を物語る幅広い分野の文化財等を対象とした。

全国の文化財・芸術関係団体の協力(文化財レスキュー事業)

 文化庁は、文化財レスキュー事業に当たって、ついて被災各県と基本方針を協議し、独立行政法人国立文化財機構及び文化財・美術関係団体に「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援委員会(事務局:独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所)」の設置と本事業の実施を要請した。
※1995年の阪神・淡路大震災の時に、当時文化庁の一機関であった東京国立文化財研究所に被災文化財等救援委員会事務局が設置された経緯があり、2011年の東日本大震災の時も同所に被災文化財等救援委員会事務局を設置。

 2011年4月から被災文化財等の救出、応急措置、一時保管が実施されたが、作業を継続する必要があるため、実施期間が1年間延長され、2012年度末までに文化財レスキュー事業は終了した。2年間で約3億円の寄付金が集まり、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の90箇所以上で実施された。

全国の文化財・芸術関係団体の協力(文化財レスキュー事業)

文化財レスキュー事業の概略図
※文化庁資料(https://www.bunka.go.jp/earthquake/rescue/pdf/bunkazai_rescue_jigyo_ver04.pdf

被災ミュージアム再興事業の実施

 2012年度以降、文化庁は被災ミュージアム再興事業を通じて、被災地方公共団体が行う博物館等の所蔵する被災資料の修理や整理・データベース化、所蔵場所の確保等について補助した。

(支援例)
〇富岡町歴史民俗資料館(福島県)
 2012年8月から11月までの計21日間、2013年5月から1月までの計24日間にわたって、双葉・大熊・富岡の警戒区域内における文化財保全作業が行われた。作業には、救援委員会・町教委・県文化財課・県博の職員のほか、救援委員会の呼びかけに応じて全国各地から駆けつけた関係者が各回数名から十数名のチームを作って参加した。作業手順は、資料の所在確認と選定、放射線量の測定、写真撮影、データ入力、資料カード記入、梱包というものであった。いくつかの資料には、雨漏りや外気の混入など等でカビが検出された。これらは搬出後に燻蒸等の措置がとられ、安定化が図られた。

<出典>(他の事例集等への掲載)
・文化財防災ネットワーク「文化財レスキューについて」
https://ch-drm.nich.go.jp/link/rescue/

・文化庁「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業(文化財レスキュー事業)について」(2011年3月)
https://www.bunka.go.jp/earthquake/rescue/pdf/bunkazai_rescue_jigyo_ver04.pdf

・東京文化財研究所「平成24年度活動報告書 I.事業報告編 6、会計報告」(2015年6月)
https://www.tobunken.go.jp/japanese/rescue/report/report_h24/pdf/h24_1-1-6.pdf

・内山大介「震災・原発被災と日常/非日常の博物館活動-福島県の被災文化財と『震災遺産』をめぐって」国立歴史民族博物館研究報告第214集(2019年3月)
・文化庁「被災ミュージアム再興事業」
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bijutsukan_hakubutsukan/shien/museum/
<活用された制度>
・文化財レスキュー事業(2011年度~2012年度)
・被災ミュージアム再興事業(2012年度~)
<事業費>
・文化財レスキュー事業 2012年度29百万円(うち国費29百万円)
・被災ミュージアム再興事業 2012年度333百万円~(うち国費333百万円~)

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