復興の教訓・ノウハウ集

復興の教訓・ノウハウ集

災害からの復旧・復興過程で生じる課題に対し、東日本大震災における状況とこれに応じた官民の取組事例、専門的知見も踏まえた教訓・ノウハウを記載しています。(令和3年3月公表)

58-1)

官民の連携・役割分担

事例名 きたかみ復興支援協働体
場所 岩手県北上市
取組時期 応急期復旧期復興前期復興後期
取組主体 北上市、北上市社会福祉協議会、北上雇用対策協議会、黒沢尻北地区自治振興協議会、いわてNPO-NETサポート、いわて連携復興センター

取組概要

 2011年8月、北上市、北上市社会福祉協議会、北上雇用対策協議会、黒沢尻北地区自治振興協議会、いわてNPO-NETサポート、いわて連携復興センターによって、被災者の健康面・生活面・雇用面でのサポート、コミュニティ支援、支援団体への情報・支援ノウハウの提供等をするために「きたかみ復興支援協働体」が設立され、その活動拠点として同年9月に「きたかみ震災復興ステーション」が設立された。

具体的内容

避難者の生活支援と沿岸地域への後方支援

 岩手県の沿岸市町村は、東日本大震災の、特に津波被害によって多くの都市機能、生活機能を喪失した。一方、岩手県の内陸部は、地震の被害はあったものの、生活インフラは残っており、発災後すぐに沿岸地域の緊急支援に動き出す等、それぞれの地方公共団体が沿岸地域の復興に向けて必要な役割を担った。
 東日本大震災後、北上市には岩手県沿岸地域や宮城県と福島県から約580名の被災者が避難した。これら避難者の生活支援や、内陸地方公共団体としての沿岸地域の後方支援体制を構築するため、北上市、北上市社会福祉協議会、北上雇用対策協議会、黒沢尻北地区自治振興協議会、いわてNPO-NETサポート、いわて連携復興センターによって、「きたかみ復興支援協働体」が2011年8月に設立された。協働体は、各団体が連携して、健康面・生活面・雇用面でのサポートや、多くの避難者が暮らす黒沢尻北地区のコミュニティ支援、沿岸地域の情報や支援ノウハウの提供を行い、北上市内の中間支援組織であるいわてNPO-NETサポートがこれらのコーディネートを行うという体制をとり、毎週のミーティングで情報共有と課題抽出、支援方策の決定が行われた。

きたかみ震災復興ステーションの機能

 きたかみ復興支援協働体は、2011年9月1日に活動拠点として「きたかみ震災復興ステーション」を設置した。このステーションには避難者や支援者の情報と人の交流スペースを設けて、被災地域の情報を集約・発信し、それぞれの地域の課題を解決することを目的とした。これによって、内陸避難者支援を行うさまざまなボランティア団体の交流の場ができたので、雇用や暮らしの相談対応、コミュニティ形成支援等、ワンストップでの効果的なサービスが可能となった。

 ステーションの活動
 〇交流・研究オフィスの設置
 ・各種学会等研究者の交流・研究(バック)オフィスの設置
 〇ボランティアバス運行支援
 ・学生ボランティアや地域ボランティアのバス運行を支援
 ・仮設住宅生活環境充実事業(仮設住宅カスタマイズ事業の実施)
 〇各種団体・研究者のコンシェルジュ
 ・研究者、ボランティアへ宿泊先等の紹介
 ・被災地域視察支援
 ・ボランティア、NPO等の会議推進支援(会場確保等)
 〇復興における情報交換会
 ・復興サロン(研究者からの情報発信)の実施
 ・被災地方公共団体職員を招いた復興計画の説明

なぜ北上が設置できたのか~北上市の地域づくりの推進~

 きたかみ震災復興ステーションが立ち上がり、内部避難者と広域の両面をサポートできる体制を構築できた背景には、北上市における官民による協働推進の基盤が大きな要因としてあげられる。
 例えば、北上市内の持続可能な社会構造の構築の検討を行う「北上市総合計画後期基本計画」において、研究者やいわてNPO-NETサポートと北上市関係部局(企画、都市計画、農政、商業等)、各自治協議会が協働でワークショップを行い、その成果を各種政策に活かす等、研究者、NPO、地域コミュニティ、行政機関が一緒になって、まちづくりの方向性の検討を行った実績がある。このような元々の基盤が、きたかみ復興支援協働体の設立、震災復興ステーションの事業に大きな機能を果たした。

<出典>(他の事例集等への掲載)
・きたかみ震災復興ステーション「事業趣旨」
https://kitakamicity.jp/fukkou/?page_id=673

・特定非営利活動法人いわてNPO-NETサポート「第17回通常総会資料」(2016年7月)
https://npo2000.jp/media/2/20170425-__________________.pdf

・北上市企画部政策企画課「北上市総合計画2011-2020後期基本計画」(2016年3月)

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